深海魚の発光

発光


魚には、チョウチンアンコウ、ホウライエソなど光を放つタイプがいる。2万を超える魚種のうち、発光タイプは深海魚を中心に1000〜1500種にのぼる。

発光の目的

カウンターイルミネーション
深海であれども、水深1,000m程度まではごくわずかに光が差し込む。
そのため、日中に下から海面を見上げたとき、上部にいる生物の影が浮かび上がることになる。腹部に発光器を配置し、降り注ぐ光と同じレベルに輝度を調節すれば、捕食者からシルエットを消すことが可能になる。これをカウンターイルミネーションと呼び、中深層遊泳性の深海魚のほとんどがこの方法を利用している。
完全に暗黒の領域となる1,000m以深ではカウンターイルミネーションの効果が期待できないためか、漸深層の深海魚には腹部の発光器はあまりみられない。

捕食
餌となる生き物を照らし出すことが、生物発光の捕食における基本用途であり、多くの深海魚がこの種の発光を行う。ほとんどのワニトカゲギス科魚類は眼の直下、あるいは後部に大型の発光器を備えており、彼らの視界を明るく照らしている。
一方、餌を誘引するための発光を行う深海魚も多い。チョウチンアンコウ類は擬餌状体の先端で共生発光を行って獲物を誘引するほか、オニアンコウ科のように複雑に分岐した顎髭のような自力発光器官をもつものもいる。また、ムネエソ属やクロボウズギス属などいくつかのグループは、口の中に発光器官をもつ

コミュニケーション
浅い海に暮らす魚が群れを作るために集合する際には、視覚に加えて反射光が利用されている。
深海魚もこれに似て、生物発光を集団の維持に用いていると考えられている。中深層で群れを成すハダカイワシ類は、カウンターイルミネーションのための腹部の発光器の他に、頭部や尾部にも発光器をもっている。発光器のサイズ・位置・数は雄と雌で異なる性的二形を示し、両性のコミュニケーションに使用されている可能性がある。

防衛
ワニトカゲギス科に属する一部の深海魚は、防御的な強い閃光を発することができる。
非常に明るい光を出すことによって、捕食者を気絶させることさえある。ハナメイワシ科(ニギス目)の魚は鰓の下から発光液を分泌し、捕食者の目を引きつけるダミーの役割を果たすと考えられている。