深海魚の構造

魚体の特徴

骨格・筋肉
利用可能なエネルギーに乏しい深海では、深海魚は極力遊泳せずに浮力を確保する必要があり、多くの深海魚では骨・軟骨および筋肉など体内の高密度組織が減少しており、代わりに低比重の水分と脂肪分を多量に含んでいる。
近年漁法の進歩から深海に住む魚も食用とされることがある。やはり脂肪分とゼラチン質がおおく、ぬるぬるとした感触。
水揚げされる地元旅館やレストランでは、メニューとなっている所もある。

眼球
透明度にもよるが、水深1,000m程度まではかろうじて太陽光が届くため、この領域に住む深海魚には体に対して非常に大きな眼球をもつものがいる。
深海に達する光は散乱と屈折のため、太陽の位置に関係なく常に真上から降り注ぎ、日没まで光量の変化も少ない。ボウエンギョ科など一部の例外を除き、ほとんどの管状眼は真上を向いており、海面方向からの光に対応している。

1,000m以深の漸深層は光がまったく届かない暗黒の世界で、この領域には落ち窪んだ小さな眼をもつ深海魚が多い。しかし、光を検出する機能は依然として残されており、退化ではなく特殊化と捉える方がより適切と考えられている。

消化器
魚食性の遊泳性深海魚には、体のサイズと比較してかなり大きな口や歯を備えたものが多い。
彼らは一見すると頭が異常に大きいように見えるが頭蓋骨は小さく、大きな口は極端に発達した顎の骨に支えられている。
発達した歯列もまた魚食性深海魚の特徴である。
チョウチンアンコウ類やクロボウズギス科の魚など、食道や胃を大きく拡張させることのできる深海魚もいる。オニボウズギスは自分の何倍もある獲物を飲み込むことが可能で、腹部を異常に膨らませた状態で捕獲されることがある。また、メラニンなどの色素沈着によって、黒色化した腸管をもつ深海魚も珍しくない。発光生物を捕食した際に、消化管を透過した光が外敵を誘引することを回避しているものとみられる。
継続的な捕食を行うことが難しい深海の環境では、エネルギーを効率的に蓄えることが課題となる。肝臓は深海魚にとって重要なエネルギー貯蔵器官であり、シンカイエソ科などは非常に大きく脂質に富む肝臓を備えている。ヨロイダラ(ソコダラ科)の肝臓もまた脂質・グリコーゲンを豊富に含み、およそ180日間は餌がとれなくとも生命を維持できると推定されている。